ご家族が統合失調症の方へ|障害年金申請をご検討ください
「幻覚や妄想といった症状があり、コミュニケーションが難しい」
「意欲がわかず、引きこもりがちになっている」
「家族が統合失調症と診断されたが、働けず将来の生活がとても不安…」
大切なご家族が統合失調症を患い、ご本人だけでなく、支えるご家族もまた、先の見えない不安と大きなご負担を感じていらっしゃることと思います。ご本人が症状と闘う中で、ご家族が経済的な心配まで抱え込むのは、あまりにもつらい状況です。
その経済的な不安を和らげ、ご本人が安心して療養に専念できる環境を支えるために、「障害年金」という公的な制度があることをご存知でしょうか。
統合失調症は、障害年金の対象となる代表的な精神疾患の一つです。この制度を正しく利用することで、国から定期的に年金が支給され、ご本人とご家族の生活基盤を支える大きな助けとなります。
このコラムでは、障害年金申請を専門とする社会保険労務士が、統合失調症の障害年金について、ご家族にぜひ知っていただきたい重要なポイントを分かりやすく解説します。
目次
障害年金とは?
障害年金は、病気やけがによって、日常生活や仕事に支障が出ている方に対して支給される公的な年金です。統合失調症などの精神疾患も、もちろん対象となります。障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があり、初診日(統合失調症の症状で初めて医師の診察を受けた日)に加入していた年金制度によって、どちらが支給されるかが決まります。
- 障害基礎年金:初診日に国民年金に加入していた方(自営業、専業主婦(主夫)、学生、無職の方など)が対象
- 障害厚生年金:初診日に厚生年金に加入していた方(会社員、公務員など)が対象
障害厚生年金は、障害基礎年金に上乗せされる2階建ての構造になっており、より手厚い保障となります。
統合失調症で障害年金を受給するための3つの要件
統合失調症で障害年金を受給するためには、主に以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
1. 初診日要件
障害の原因となった統合失調症で、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(初診日)を特定し、証明できることが必要です。
2. 保険料納付要件
初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間のうち、3分の2以上の期間で保険料が納付または免除されていることが必要です。(※2026年3月末日までは、初診日に65歳未満であれば、直近1年間に保険料の未納がなければよいという特例があります)
3. 障害状態要件
障害認定日(原則として初診日から1年6ヶ月が経過した日)の時点で、国が定める障害等級(1級~3級)に該当する状態であることが必要です。
統合失調症の障害等級の目安
統合失調症の審査では、幻覚・妄想といった「陽性症状」だけでなく、意欲の低下や引きこもりなどの「陰性症状」が、日常生活にどれだけ影響を与えているかが総合的に判断されます。
等級 | 状態の目安 |
1級 | 幻覚・妄想などの症状が著しく、常に援助が必要な状態。身の回りのことがほとんどできない。 |
2級 | 日常生活に著しい制限がある状態。一人での外出が困難で、金銭管理や計画的な買い物ができない。引きこもりがちで、労働により収入を得ることができない。 |
3級 | 労働に著しい制限がある状態。陽性症状は軽快していても、陰性症状により、対人関係に困難があり、仕事に大きな支障が出ている。 |
※障害厚生年金のみ3級があります。
※上記はあくまで目安です。実際の認定は、診断書や申立書の内容から総合的に判断されます。
統合失調症の認定で特に重要となるポイント
統合失調症の障害年金申請では、症状の特性から特に以下の点が重要視されます。
- 「日常生活能力の判定」がカギ
診断書の裏面にある「日常生活能力の判定」という7項目(①食事、②身辺の清潔保持、③金銭管理と買い物、④通院と服薬、⑤他人との意思伝達・対人関係、⑥身辺の安全保持・危機対応、⑦社会性)の評価が、審査において極めて重要です。ご家族から見た普段の様子を具体的に医師に伝えることが不可欠です。 - 陰性症状の的確な申告
幻覚などの分かりやすい症状だけでなく、「お風呂に何日も入らない」「自室からほとんど出てこない」「会話が成り立たない」といった陰性症状による生活の困難さを具体的に示すことが認定のポイントになります。 - ご本人の病識の問題
統合失調症の特性上、ご本人に「自分は病気である」という認識(病識)がない場合や、症状を軽く考えている場合があります。そのため、ご本人の話だけでは、日常生活の困難さが医師や審査機関に正しく伝わらない可能性があります。
ご家族だからこそできる大切なサポート
ご本人が症状により自身の状態をうまく説明できない場合、ご家族のサポートが申請の成否を分けることもあります。
- 客観的な日常生活の様子の記録
「幻聴や独り言の頻度」「妄想の内容とそれによる行動」「食事や入浴を拒否する様子」「引きこもりの状況」など、第三者が見てわかる具体的な事実を時系列でメモしておきましょう。この客観的な記録は、医師への情報提供や申立書作成の際に、非常に有力な資料となります。 - 通院への同行と医師への情報提供
診察に同行し、ご本人が話さない(または話せない)普段の生活状況を、メモを基に具体的に医師に伝えてください。「本人は大丈夫と言っていますが、実際には金銭管理ができず、家族が代わりに行っています」といった客観的な情報が、実態に即した診断書につながります。 - 専門家への相談
「何から手をつけていいか分からない」「家族だけでは限界を感じる」という場合は、決して無理をせず、障害年金の専門家である社会保険労務士にご相談ください。
専門家である社会保険労務士に依頼するメリット
障害年金の申請は、人生を左右することもある重要な手続きです。専門家である社会保険労務士にご依頼いただくことで、次のようなメリットがあります。
- 受給の可能性を最大限に高める:認定のポイントを押さえ、症状の実態が正しく伝わる書類を作成し、不支給のリスクを最小限に抑えます。
- ご家族の負担を大幅に軽減:煩雑な書類作成や年金事務所との折衝などをすべて代行します。ご家族はご本人のケアに専念できます。
- 精神的な安心感:専門家が手続きの道筋を示し、伴走することで、先の見えない不安を和らげることができます。
- 適正な等級での受給:症状に見合った本来受給すべき等級で認定されるよう、あらゆる角度から主張を尽くします。
【まとめ】まずは専門家にご相談ください
ご家族が統合失調症と闘う中で、経済的な基盤を確保することは、ご本人の安心な療養生活と、ご家族の精神的な安定に直結します。障害年金は、そのための大切な権利です。
「うちの家族の状態でも対象になるのだろうか?」
「初診日がかなり前だけど、大丈夫だろうか?」
少しでも疑問や不安を感じたら、どうかご家族だけで抱え込まず、私たち障害年金のプロにご相談ください。ご家族からのご相談を丁寧にお伺いし、受給の可能性や今後のステップについて、誠心誠意アドバイスさせていただきます。
初回のご相談は無料です。どうぞお気軽にお問い合わせください。
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