統合失調症で障害年金を受け取るには?認定基準や申請のポイントを徹底解説!

統合失調症を患い、日常生活や就労にお困りの方にとって、障害年金は経済的な支えとなる大切な制度です。しかし、制度の複雑さや申請手続きの煩雑さから、なかなか一歩を踏み出せない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、統合失調症で障害年金の受給をお考えの方へ向けて、障害年金の基本的な知識から、統合失調症特有の認定基準、申請のポイント、そして専門家である社会保険労務士(社労士)に依頼するメリットまで、分かりやすく解説します。

障害年金とは?

障害年金とは、病気やケガによって、法律で定められた障害の状態になり、日常生活や仕事に支障が出た場合に支給される公的な年金です。障害年金には、主に以下の2つの種類があります。

  • 障害基礎年金:国民年金に加入している間(または20歳前や60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間)に初診日がある病気やケガで障害の状態になった場合に支給されます。障害等級は1級と2級があります。
  • 障害厚生年金:厚生年金に加入している間に初診日がある病気やケガで障害の状態になった場合に支給されます。障害等級は1級から3級まであり、3級よりも軽い障害状態の場合には障害手当金(一時金)が支給されることもあります。

支給額は、加入していた年金制度や障害の等級、配偶者や子の有無などによって異なります。統合失調症のような精神疾患も、障害年金の対象となります。

統合失調症で障害年金を受給するための条件

統合失調症で障害年金を受給するためには、主に以下の3つの条件を満たす必要があります。

  1. 初診日要件: 障害の原因となった統合失調症で、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(初診日)が、国民年金または厚生年金の被保険者期間中であること、あるいは20歳未満であることなど、一定の条件を満たしている必要があります。
  2. 保険料納付要件: 初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち、3分の2以上の期間で保険料を納付しているか、または免除されていることが必要です。ただし、特例として、初診日が令和8年3月31日以前であり、初診日に65歳未満の場合は、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないことでも認められます。
  3. 障害状態要件: 障害認定日(初診日から1年6ヶ月を経過した日、または症状が固定した日)において、統合失調症による障害の程度が、国民年金法施行令または厚生年金保険法施行令に定められる障害等級(1級・2級・3級)に該当すること。または、障害認定日に該当しなくても、その後65歳に達する日の前日までに該当するようになった場合も対象となります。

これらの要件をすべて満たして初めて、障害年金の受給権が発生します。

統合失調症の障害認定基準:「日常生活能力」がカギ

統合失調症の障害認定においては、症状の重さだけでなく、それによって日常生活や社会生活にどれだけの支障が出ているかという「日常生活能力」が非常に重要な判断材料となります。

日本年金機構が定める「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」では、統合失調症の症状(妄想・幻覚などの陽性症状や、意欲低下・感情鈍麻・引きこもりなどの陰性症状)の程度と、それによる日常生活能力への影響を総合的に評価して等級が判断されます。

障害等級の目安

  • 1級:高度の残遺状態または病状があり、人格変化、思考障害、妄想・幻覚などの異常体験が著明なため、常時の援助が必要なもの。具体的には、身の回りのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできない、または著しく制限される状態。
  • 2級:残遺状態または病状があり、人格変化、思考障害、妄想・幻覚などの異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの。具体的には、家庭内でのごく身近な活動はできても、社会生活は困難な状態。
  • 3級(障害厚生年金のみ):残遺状態または病状があり、人格変化の程度は著しくないが、思考障害、妄想・幻覚などの異常体験があり、労働が制限を受けるもの。

診断書には、「日常生活能力の判定」という項目があり、以下の7つの観点から具体的な状況が評価されます。

  1. 適切な食事摂取
  2. 身辺の清潔保持、規則正しい生活
  3. 金銭管理と買い物
  4. 通院と服薬
  5. 他人との意思伝達及び対人関係
  6. 身辺の安全保持及び危機対応
  7. 社会性(社会的な手続きや活動への参加など)

これらの項目について、「援助があればできる」「できない」といった具体的な状況を医師に正確に伝え、診断書に記載してもらうことが極めて重要です。「単身で生活するとしたら可能かどうか」という視点で判断されるため、家族のサポートがある場合でも、そのサポートがない状態を想定して伝える必要があります。

統合失調症での障害年金申請における注意点

統合失調症で障害年金を申請する際には、いくつかの注意点があります。

  • 初診日の証明の重要性と難しさ: 統合失調症の場合、精神科を初めて受診する前に、不眠や頭痛などの症状で内科など他の診療科を受診しているケースがあります。障害年金の初診日は、現在の診断名である「統合失調症」と診断された日ではなく、その原因または関連する症状で最初に医療機関を受診した日となります。この初診日を正確に特定し、証明することが非常に重要です。カルテが破棄されていたり、病院が廃院していたりすると証明が難しくなることもあります。
  • 診断書の重要性: 障害年金の審査は、提出された書類に基づいて行われ、特に医師が作成する診断書の内容が結果を大きく左右します。日常生活の状況や就労状況、症状の程度などを具体的に、かつ正確に医師に伝え、実態に即した診断書を作成してもらう必要があります。医師に障害年金制度や診断書の重要性を理解してもらうことも大切です。
  • 病歴・就労状況等申立書の作成: 発病から現在までの病状の経過、治療内容、日常生活や就労の状況などを本人や家族が記載する書類です。診断書だけでは伝えきれない情報を補足し、審査において非常に重視されます。時系列に沿って、診断書との整合性を保ちながら、具体的に記載することが求められます。特に、どのようなことに困っているのか、どのような援助が必要なのかを明確に伝えることがポイントです。
  • 社会的治癒の可能性: 長期間治療を中断し、社会復帰して安定した生活を送っていた期間がある場合、「社会的治癒」とみなされ、再発後の初診日が新たな初診日となることがあります。これにより、保険料納付要件などが変わってくるため、注意が必要です。
  • 有期認定と更新: 統合失調症の場合、障害の状態が変化する可能性があるため、多くは1〜5年の有期認定となり、定期的に障害状態確認届(診断書)を提出して更新手続きを行う必要があります。

最大5年分の年金がもらえる遡及請求とは?

障害年金の請求を忘れていた、あるいは制度を知らなかったなどの理由で、障害認定日から時間が経過してしまった場合でも、諦める必要はありません。「遡及請求(そきゅうせいきゅう)」という方法で、過去に遡って障害年金を請求することができます。

遡及請求が認められれば、最大で過去5年分の障害年金が一括で支給される可能性があります。ただし、遡及請求を行うには、障害認定日時点(初診日から1年6ヶ月経過した日)と請求時点の両方の診断書が必要になるなど、通常の請求よりも準備する書類が増え、手続きが複雑になる傾向があります。また、遡れるのは障害認定日までであり、ご自身が希望する時点まで遡れるわけではありません。

社労士に依頼するメリット

障害年金の申請は、ご自身やご家族でも行うことができますが、専門家である社会保険労務士に依頼することで、以下のようなメリットがあります。

  • 専門知識による的確なアドバイスとサポート: 複雑な制度や認定基準を熟知しており、個別の状況に応じた最適な申請方法を提案できます。
  • 書類作成の負担軽減と質の向上: 最も重要な書類である診断書の依頼時の注意点や、病歴・就労状況等申立書の作成サポートなど、専門的な視点から書類の質を高め、受給の可能性を上げるお手伝いをします。
  • 手続きの代行による時間と労力の削減: 年金事務所への書類提出や問い合わせなどを代行するため、申請にかかる時間や手間を大幅に削減できます。治療に専念したい方や、手続きが負担に感じる方には大きなメリットです。
  • 精神的な負担の軽減: 慣れない手続きや書類準備は、精神的なストレスになることもあります。専門家に任せることで、安心して手続きを進めることができます。
  • 受給決定後のサポート: 無事に受給が決定した後も、更新手続きや額改定請求など、継続的なサポートが期待できる場合があります。

当事務所における受給事例

「初診日の特定が困難だったケースで、粘り強く医療機関と交渉し証明書類を入手できた」「ご本人様では伝えきれなかった日常生活の困難さを丁寧にヒアリングし、病歴・就労状況等申立書に反映させたことで2級に認定された」などがございます。

当事務所では、統合失調症をはじめとする精神疾患の障害年金申請サポートに力を入れております。ご依頼者様一人ひとりの状況を丁寧に伺い、これまでの経験と専門知識を活かして、障害年金の受給に向けて全力でサポートいたします。初診日の特定が難しいケースや、一度不支給になってしまったケースのご相談も承っております。

まとめ

統合失調症を抱えながらの生活は、ご本人様はもちろん、ご家族様にとっても大変なご苦労があるかと存じます。障害年金は、そのような方々の経済的な負担を軽減し、安心して療養生活を送るための一助となる制度です。

申請手続きは複雑で分かりにくい点も多いですが、諦めずに専門家にご相談いただくことで、道が開けることもあります。この記事が、統合失調症で障害年金をお考えの方にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

もし、障害年金の申請でお困りのことやご不安な点がございましたら、まずはお気軽に当事務所までご相談ください。初回のご相談は無料でお受けしております。

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